あの日、マーラーが
不謹慎の声が上がる前に・・・
「あの日、マーラーが」/藤谷治
東日本大震災が発生したあの日の夜、
東京都内で
クラシックのコンサートが
開かれてたとは!!!
2011年、3月11日の午後7時30分。
新日本フィルハーモニーは、
すみだトリニティーホールで
マーラーの交響曲第五番嬰ハ短調を
演奏した。
藤谷治さんは
この事実の基づいたフィクションとして
「あの日、マーラーが」を書いた。
『不謹慎だから・・・』と
6年前のあの日を境に、
色々なものが自粛された期間があった。
未曽有の大災害を経験して
混乱する中、
エンターテイメントに関わる
全ての人たちが、苦悩しながら
様々な選択、決断をしていたことが
思い出される。
登場人物たち一人一人の
あの日がとてもリアル
この作品では、
演奏会を開催したスタッフや団員、
聴きに来た観客の数人のあの日描かれている。
都内にいた人が
どんな風に過ごしていたか、
何度もテレビやラジオで見聞きしたから
覚えているけど、
登場人物たちのあの日を読んでいると
自分自身が神奈川の実家で
ただただ途方に暮れるしかなくて
何をしたら良いかわからなかった
日々の記憶がより鮮明によみがえってきた。
あの混乱の中で、
コンサートを実施する
決断をした人や
わざわざ会場に足を運んで、
演奏を聞きに行った人が
いたとは驚いた。
でも、この日の、
交響曲第五番嬰ハ短調
には、あの日に多くの人が抱いた
不安や恐怖を超越する力があったようだ。
これからも
”いつもどおり”が
一瞬で遠くに行ってしまった
あの日のことを忘れそうになったら
マーラーの交響曲第五番嬰ハ短調を
聞くことにしよう。
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