なぎさ

大学生の頃読んだ山本文緒さんの「恋愛中毒」は、

読書にはまるきっかけを作ってくれた大切な一冊。

ティーンエイジャーには怖すぎて衝撃的だった。


そんな山本さんの、15年ぶりの長編作品「なぎさ」の舞台がなんと私の地元!!!

本屋さんで発見して、娘の昼寝を待ちわびて読んだ。


主人公が長野の故郷を飛び出して、居を構えた先がなんと私の地元だった!


私の生まれ育った町は、都内で飲んだら終電11時くらいだし

(今なら、そんなに長く飲めないけど・・大学時代はすごく不便に感じた。)

我慢できずに、大学3年生になって一人暮らしをはじめたほど

とにかく出ていきたい退屈な街だった。


でも、今回、山本さんに魅力的なところをたくさん見つけて頂いて、嬉しかった。

山本さんの巧みな文章力で、時が止まったように感じられるJRの駅も

数年前にできたショッピングモールも、古い商店街やフェリー乗り場も

すごく良い場所のように感じられた。


なぎさ」は、毎日夫のためにお弁当をきちんと作る妻が主人公。

家事をこなす以外のことにはとても消極的な主人公のもとに、

行動力と才覚のある妹がやってきて生活が一変。

一緒にカフェを始めて切り盛りしていく中で

これまで見て見ぬふりをしてきたものから目をそらすことができなくなっていく。


世の中の多くの人が選んでいる大筋の生き方を無理に選ぶ必要はない。

会社や周りの誰かの力を借りず、

自分の道を、自分で考えて切り開かなければ思うようには生きられない。

利用されたり、潰されてしまうリスクすらある。

そう教えてくれた作品だった。

写真は作品の中にも何度も登場した私の地元の名所。

まだパラパラとしか咲いていなかったけど、11月くらいが見ごろかな。

Haruna Terazono

”伝えること”を 仕事にしています。

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