「14歳の地平線」/椰月美智子【夏休みに何すべきかがわかる】

4歳と夏休みを過ごしながら、14歳に思いを馳せたり、懐かしんだり。

娘の幼稚園の夏休みが終わった。

40日間って始まる前は、『毎日何したら良いんだ!』と思ってたけど、終わっちゃうと足りない気がするから不思議。

いったい何して暮らしてたんだっけ?!

そして夏休みの宿題は慌ててやった。

最終日に、娘に工作させたことをばあば(私の母)に叱られ、反省しつつも、終わったからよいではないかとまだまだ反発心もあり・・・

幼稚園の宿題はちょっとだけだったから何とかなったけど、小学生になったらきっとこのままではいられないんだろうな~。

来年は、娘に悪い習慣を身につけさせないように、ちゃんとしよう、自分!

この気持ちを忘れずにいられますように!


文句なく充実した夏休み!

14歳の地平線」/椰月美智子

4歳との夏休み中に、14歳の登場人物たちが、夏休みを無駄なく過ごしたと胸を張れるであろうお話を読んだ。

中学二年生男子(14歳)の主人公は、両親が離婚してから、部活を辞め、成績も急降下。

そんな中迎えた夏休みに、父親の実家のある沖縄の離島に行くことに。

ミステリーツアーと言う名のキャンプに参加し、全国各地からやってきた同い年の男子と共に生活するなかで、主人公は大切なものを見つける。

・・・というストーリーと同時に、主人公の父親が14歳のときの物語が進行していく。

(主人公の父は、沖縄の離島で生まれ育ち、14歳の夏に一生忘れられない経験をしていた。


2人の14歳の思いに触れて、自分の14歳を振り返り、また娘の10年後を思いながら読んだ。
私も主人公とおんなじように思ってた!というところがたくさんあった。

たとえば、

”自分の居場所はここではない感覚”

これってどこに住んでてもあるものなんだな。

離島で生まれ育った父親は、島を出て東京に出たいと強く思っていたのだけど、このくらいの時って自分が知ってる世界ってちっぽけに思えるものなんだなと感じた。

で、父は実際に東京に出てどうだったのかは、島に残った父の同級生の今を見て、色々考えさせられる。

私も14歳くらいの時、今自分がいる場所よりも素晴らしいところがどこかにあるって私も思ってたな~。

社会人になって、色んな所に住んだけど、どうだったかな。

横須賀で暮らしてたあの頃は、私も大人になって暮らすなら東京一択って思ってた。

東京=世界の中心だと信じていて、そこに居たかった。

でも、目黒区に住んでいた時も、真ん中にいた感は特になかったんだよな。

14歳の地平線」読んでいて、自分がいる場所が自分の世界のセンターだって気付くのには時間がかかる人は多くて、私もそうだったんだって気付かされた。


それから、あのころって、”自分のことでいっぱいいっぱいで、人のことを考える余裕ってなかった”ことも苦々しく思い出された。

自分は他の人に比べて特別な存在だと思ってたし、自分と同じような苦悩を人が抱えているなんて、考えもしなかったかも。

今よりも人の気持ちに鈍感だったし、本質的に人のことを認められてなかったんだよな。

主人公たちのキャンプ参加のbefor afterを見て、私もキャンプに参加していたら、もっと違ってただろうと惜しいような気持ちにもなった。

キャンプへの参加は無理でも、せめて学生時代にこの作品を読みたかったな。

読んで、あの頃、自分の視野が狭いことに気付いてたら、、、と思ったけど、そもそもあの頃の感覚だったら読んで気づけただろうか。

でもでも中学生になったら娘には読んで欲しい!!!


14歳の登場人物たちの行動も考えもとてもキラキラしていて、読んでいて目を細めたくなるほどまぶしい作品で懐かしむだけでなく、親としての思いも入り交じり、最後の方は涙。

子供の成長を見守るって泣けるんだな~。


そうそう、主人公の父(14歳じゃなくて、主人公の父として登場した父)が、これから子供の成長を見守ることを楽しもうと思い直す場面がある。

この前読んだ荻原浩さんのエッセイ「極小農園日記」でも、同じように子供の成長を見つめる素晴らしさが綴られていた。


世のお父さんたちは、気づき始めているのかもしれない。

”家族は自分を支えてくれる存在”ではなく”一緒にいて様々な発見をもたらす人たち”だということに。

とは言え、まだまだ家父長制の名残はあるけど、子供の成長を見つめることで、自らの子供時代を追体験できるし子育てはおもしろいことではないかと感じるお父さんが増えてきてるのかも。


子育てってめんどくさいこともたくさん。

自分から産まれてきたわが子なのに、思った以上に気持ちは伝わらないし、生活全般を世話するって手がかかるし。

外で仕事するのと違って、お金を貰える訳じゃなくて、むしろ逆にお金も時間も奪われる。
成果って何だろうって思うこともあるし。


でも、そうした側面だけを見て、子育ての時間を大切にしなかったらもったいないんだ。

確かに子供と結構べったりだった夏休みの40日間って贅沢な時間だったな。


正直に言うと、働くために、子育てが、足枷になるって思ったことがなくはないけど、働くために子育てを軽視するのも何か違うよな。
でもでも、だからと言って、子育てに人生を捧げるのもしっくりこない。
子供込みじゃない世界を生きつつ、子供との時間も大切にするのが理想かな。

なーんて例年になく暑い夏に、「14歳の地平線」は、色々考えさせてくれる作品だった。


↓写真は、急ごしらえした工作。

色んなブレスレット。

覚えたてのひらがなで、ママの名前を書いてくれるなんて泣けるじゃないか。

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