さらさら流る

不安で眠れなくなる

さらさら流る」/柚木麻子

大好きな柚木麻子さん作品。
・・・なんだけど、テーマが重すぎて

なかなか読み始めることができなかった。


読み始められなかった要因は

3つの恐怖を感じたから。

①ネット上での拡散の恐怖
②過去の自分の過ちが牙をむく恐怖
③人の実績を自分のものだと錯覚してしまう恐怖

さらさら流るの主人公は
ある日、学生時代に付き合っていた
元カレに、一度だけ撮らせた
自分のヌード写真が
ネット上で拡散されていることに気づく。

元カレとの思い出を振り返りながら
友人や家族に協力を仰ぎ
どうして拡散されたのかを突き止めていく。

ネット上での拡散について
インターネット上で
一度拡散してしまった情報は基本的に消せない!
インターネットの普及で
誰でも発信者になれるようになって

公開のハードルがぐんと下がった。

だから、深く考えずに利用しがちなんだけど

自分の手を離れて、コントロールできなく

なっていくのってすごく怖い。


過去の自分の振る舞いに関して

その時々は、一応色々考えて

行動してきたつもりだけど

今思えば、傲慢だったし、勘違いしてたこと

ってたくさんある。

さらさら流る」の主人公は、

元カレにヌード写真を撮らせたことを

深く後悔することになってしまう。

そんな心の動きを見ていると

消えてなくなりたいほどの不安が

自分の中で膨らんできた。

あれやこれやも若気の至りで、

色々許してもらえたらいいな・・・


人のものを自分のものだと錯覚してしまう

家族はチームだけど、チームの実績は

自分の実績とは言えないのでは?と思わされた。

さらさら流る」の主人公の元カレは

元カノであった主人公を、自分のものだと

思っていたから、ヌード写真を他人に見せてしまう。

彼女と一緒と過ごした時間は、彼のものだけど

一緒にいたときの彼女のものは彼のものではない。

そんなことを忘れてしまっている。


そんなことも分からないのか?と

思いつつ、自分と家族の関係に目を向けると

家族の行いを自分のものだと思っていないか?と

自問自答することに。

子どもを産んだのは自分だけど

子どもは子どもで、私の所有物ではない別人格。

彼女たちの発言や肖像権は私のものでは

ないんだよな・・・と改めて気付かされた。

自分は何もしてないのに、

家族の功績を自分のもののように

感じることってよくある。

危ういな。


あー色々考えだすと

やっぱり眠れない。


でもでも、主人公の家族や

友人はとっても強くて頼りになる人たちで

恐さだけじゃなく救いがあるから

是非読んでみてもらいたい!!!


人生のゴールとは?

リスク管理に縛られすぎなくても

私は心配性のくせに
脇が甘すぎて失敗してしまうことがある。
だから、過去の自分が信頼できない。


例えば、よく、火を消してから家を出たか

心配になって慌てることがある
帰宅して火がつけっぱなしだったことは
ないのだけど。

この春、独り暮らししていた

祖父が亡くなった時に

これまで色々心配していた事態は
起こらなかったなぁと思った。

急な階段を上り下りして布団を干すこと
見通しの悪い横断歩道を渡ること
石油ストーブの前での居眠り 等々

いつも、祖父の家から帰宅する時に

大丈夫かなと、

心配の種をたくさん見つけてきた。


でも祖父は、

心配した事態を起こさずに

亡くなった。


それって成功なのかな。

成功って言葉も変だけど。


祖父は、あんまり色々気にせずに
自分のルールの中で暮らしていたから

良かった気がする。


今は2度と来ないから、
未来の自分に投資したり
リスクヘッジするより
今の時点での最良の選択を
して生きていきたいものだ。

毎日は
さらさらと流れていってしまうから。

Haruna Terazono

”伝えること”を 仕事にしています。

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