「漁港の肉子ちゃん」/西加奈子【誰しも完璧ではない】

娘の運動会の朝、なんとなくつけていたテレビに西加奈子さんが出ていた。
バタバタしてたから、ちゃんとは見られなかったのだけど、
『うわー西加奈子ってめっちゃ美人じゃん!!!』と私の意地悪アンテナがバリ3になってしまった。
(バリ3。PHSを持ち始めた高校生の頃、電波が抜群に良いことを称していた。)

恥ずかしながら、こんなに美人で、才能もあるなんてずるいじゃないか!と僻んでしまい。。。
私の周りの美人は、みんな、性格もよくて、素敵な人ばかりなんだけど、にも関わらず、美人を見ると、何か欠点があるはずだと思わずにいられず、西さんに対しても。。。

買ったあとにタイミングが合わず(気分によって新しい作家さんにチャレンジできないことがあるため)「漁港の肉子ちゃん」をずいぶん前から積読していたことを思い出した。

本棚の奥から「漁港の肉子ちゃん」を取り出して

西加奈子、お手並み拝見?!


・・・あっと言う間に読了。

ああ、私、何しょうもないこと思っちゃったんだろう。
西加奈子さま、大好きです!肉子ちゃん!

漁港の肉子ちゃん」は、さまざまな男に騙されながら、町を転々として生きてきた38歳。
行き着いたのは、北の港の焼肉屋。

そんな生活をしていても、悲壮感ゼロで底抜けに明るい。

まるまると太っていることも相まって、肉子ちゃんと呼ばれている。


肉子ちゃんには小5の娘=きくりんがいて、きくりんの目線で物語は進行していく。


他者との関わりに悩み始めたきくりんの傍らには、本能のままに生きる肉子ちゃん。

自分の親を盲目的に信じてきたけど、社会生活を営む中で、周りの友達や、大人たちに揉まれて、どうやら自分の親はちゃんとしてないかもと感じるのが、小5くらいだったかな。

妙に親が恥ずかしい存在に思えたりもするけどお母さんが大好きだから否定はしたくなかったり。

きくりんは、ちょうどそんなお年頃。

きくりんは、社会の中で周りの人に迷惑をかけないで生きられる、ちゃんとした大人になろうと思っている。

常識的になろうとするばかりに、自分のズルさが目に付いて落胆したりもしながら、傷つかないように先回りして動いたり、自分を抑えたりしてしまう。


きくりんの気持ち、よく分かる。


でも、肉子ちゃんは正反対。

肉子ちゃんを見ていると、人に嫌われないように空気読んで、言葉選んで自爆するくらいなら、何も考えずに思うがままに生きたほうが、自分も周りもしんどくないと思えてくる。

肉子ちゃんのことを、はじめは、バカだなぁとか、親としてどうなの?と思ったけど、だんだん物語が進行していくと、生きて行くのに大事なのは常識的であることではないのかもと思わされていく。
他者の目から鈍感で、自分が幸せだと思える生き方をしている肉子ちゃんから目が離せなくなっていった。

肉子ちゃん、好きだな。


他の人の目を気にしない肉子ちゃんと、他人の目ばかり気にしてしまうきくりん。

2人の違いを見ていて、自分は何のために常識的な人であろうとしているのかと考えさせられた。

他人の目より自分の目を信じられる人になるのって難易度高い!

でもでも、何となく人の顔色伺って、勝手にストレス溜めてるのって無駄かも。

誰かに言われたからではなく、自分で幸せを感じられる人になりたい。

そうしたら、他人の目なんて気にならなくなるんだろうな。

肉子ちゃんは、それを体現してるから見た目とか関係なく魅力的なんだ!

誰かが決めた幸せの形を目指して努力するのではなく、自分がこれがいいって思う生き方を見つけよう!

頑張れ、きくりん!

写真は、今年の運動会のお弁当。

私が作った・・・と言いたいところだけど、お弁当作りの序盤で、指を切って出血。

痛い!!!と言っていたら、手伝いに来てくれた妹が私の指示のもと、作ってくれた。

ありがたい!


肉子ちゃんなら、何とかなって良かった!って喜ぶだろう。

きくりんは、困ったもんだなって思うかな。


運動会、よくがんばりました!

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