瓦礫の中のレストラン
力強く生きる!
「瓦礫の中のレストラン」/江上剛
数年前の朝ドラ「ごちそうさん」が
大好きだったので
そんな感じかな?と思って手に取った。
(「瓦礫の中のレストラン」の方が
コミカルな要素がない分、ハードな印象)
主人公は、腕っぷしの強い大男で
たくさんご飯が食べたいという思いで
軍隊に志願。
ところが上官のリンチによって友人を
失ってしまう。
戦争から生きて帰ったあとは、
混乱の中で様々な商売をしながら
亡くした友人が夢見ていた
食堂経営に行きつく。
主人公に次から次へとピンチが訪れる中
いかにして生き抜いたかが描かれているのだけど
主に2つのことを考えながら読み進めた。
①本質的には自分さえよければよいもの?
人間って、自分と違っていたり
自分より劣っていると自分基準で判断した人を
排除したり淘汰したい気持ちを
持っているものなんだ。
暴力とまではいかなくても
今でも炎上とかあるし
人を追い込むことに快感を覚えるところがある。
(もちろん自分の中にも・・・)
主人公は、力を持って人を
追い込もうとする人たちに
どんな理不尽な目に合わされても
前に突き進んでいくから、
この作品には爽快感がある。
自分さえ得できれば
周りは傷つけても良いのか・・・
一日一日を生き抜くのに精いっぱい
だった時代でも、やはり
自分のことだけ考えていた人は
幸せではなかったと感じさせられる。
キレイ事でなく。
どんな状況になっても
誰かを傷つけて得るものは
ないことを忘れずにいたい。
②戦争体験ってもう聞けないかも
この春亡くなった祖父が
よく『私たちの頃が一番良い時代だったのかもね』と
これからの世の中を憂いていたことを思い出した。
「瓦礫の中のレストラン」の主人公と
祖父は、ほぼ同世代。
戦争があって、今より物がない時代だったのに
どうして一番良い時代だったと言うのか
謎だったのだけど、
自分の手で豊かさを作っていった
時代を生きたことが祖父にとって
誇りだったのだろうと
この作品に感じさせられた。
もっと、詳しく聞けばよかったな。
子供の頃夏休みの宿題で祖父母に
戦争体験を聞いたけど
私の子供世代は、体験者から直接話を
聞くのは難しくなっている。
そして思い起こしてみると
私も、小学生向けの話しかしてもらっていない。
大人になってからはわざわざ聞く
こともなかったから、祖父の戦争体験で
知ってることってほんのちょっとだけだ。。。
「瓦礫の中のレストラン」のように
何もないところからの再出発を
この時代を生きぬいた多くの方がしてきたことを
もっとたくさん聞けばよかった。
これから子供たちと一緒に、本などの資料に触れて
戦争や戦後の復興について知る機会を持とう。
今年で戦後73年。
「瓦礫の中のレストラン」は、
おいしいものが毎日食べられることに
感謝したくなる作品だった。
写真は週末に近くまで行って眺めた
スカイツリー。
何もないところから約70年で
こんな大きなタワーまで建ったんだ。
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